【ノロウイルス特集】「牡蛎の美味しい時期になりました」≠「ノロウイルスが流行する時期になりました」~牡蛎を疑うのではなく身の回りに注意しましょう!!~
- モトヒロ
- 2023年12月16日
- 読了時間: 4分
更新日:2024年1月14日

こんにちは、元保健所職員で薬剤師のモトヒロです。
今日はノロウイルス食中毒の危険性と予防法についてお話ししたいと思います。
この記事を読むことでノロウイルス食中毒についての理解が深まります。正しい知識を身につけ、自身の身は自分で守れるようになりましょう。

1.冬といえば「牡蛎」冬の食中毒といえば「ノロウイルス」
牡蛎の美味しい季節になりましたが、
同じタイミングで流行する食中毒があります。
それが「ノロウイルス」です。
「ノロウイルス」=「牡蛎を食べた人」が結びつく消費者の方も多くいるのですが、
最近は牡蛎による食中毒より「人から人」(2次感染)による原因がほとんどです。(ちなみに、私が保健所で5、6年間、食品衛生に係っていましたが、ノロウイルス食中毒事件等のすべてが2次感染によるものでした。(統計にもなりませんが…))
ノロウイルスは、一年を通して発生していますが、特に冬季に流行する傾向があります。
ノロウイルスは、手指や食品などを介して、経口で感染し、感染から発症までの期間はおよそ24~48時間、おう吐、下痢、腹痛などを引き起こします。

2.感染率
厚生労働省によると、令和4年の食中毒発生状況によると、ノロウイルスによる食中毒は、事件数では、総事件数962件のうち63件(総事件数の6.5%)、患者数では総患者数6,856名のうち2,175名(総患者数の31.7%)となっています。
発生状況からわかるように、事件数としては、そこまで多くはないのですが、1事件に対しての患者数、つまりは感染率が他の食中毒と比べて段違いに高いのです。
そこには、ノロウイルスの特性が関係しています。
ノロウイルスの感染者(不顕性感染者も含む)が便として排出するノロウイルスの量は、何と1gあたり100万から10億個以上といわれ、嘔吐物にも100万以上含まれることが分かっています。つまり、1gあたり1万人以上も感染させる力を持っているわけです。ノロウイルスは少量のウイルス(100個以下)でも発症しますので、感染対策を徹底していないと、すぐに身近な人に感染してしまうのです。保育園や高齢者施設など集団生活の場では、感染がひろがり集団発生を引き起こしやすいといえます。

3.ノロウイルスの対策
ノロウイルスによる食中毒及び感染症の発生を防止するため、以下の予防対策を徹底することが大切です。
食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗いましょう。
下痢やおう吐等の症状がある方は、食品を直接取り扱う作業をしないようにしましょう。
胃腸炎患者に接する方は、患者のふん便や吐ぶつを適切に処理し、感染を広げないようにしましょう。
加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱して食べましょう。(85℃~90℃で90秒間以上の加熱)
調理器具等は使用後に洗浄、殺菌しましょう。(※)
以上の予防対策を徹底することで、ノロウイルスによる食中毒及び感染症の発生を防止することができます。特に手洗いが大事なのは、コロナの流行に伴い、日本人が全体的に手洗いを徹底したことでノロウイルス等の食中毒件数が減ったことが証明しているかと思います(そもそも飲食店への利用が減ったことも要因だとは思いますが…)。
(※)ノロウイルスはアルコールを噴霧しても効果ありません。塩素系漂白剤を使用しましょう。
塩素系漂白剤の希釈液の作り方
ノロウイルスの感染力を失わせる次亜塩素酸ナトリウムが含まれている市販の塩素系漂白剤を用意します。汚れ(おう吐物や便)を拭くためには、高濃度希釈液を使います。作り方は、塩素濃度が5%程度のものは水で50倍、1%程度のものは水で10倍に薄めます。汚れを拭いたあとの消毒や、感染した人が触ったものの消毒には、低濃度希釈液を使います。作り方は、塩素濃度が5%程度のものは水で250倍、1%程度のものは水で50倍に薄めます。
4.最後に
以上がノロウイルスについての予防法でした。この記事を読んでいただいたのなら、すぐに食べた牡蛎を疑うのではなく、ここ2,3日の身の回りのことを思い出していただけるのではないかと思います。
ノロウイルス食中毒は、食品の取り扱いや調理方法によっては防ぐことができます。食品の安全を確保するために、正しい知識と注意を持って食生活を楽しみましょう。

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