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外国人に人気の「卵サンド」について、食品衛生的に考えてみた(黄色ブドウ球菌編)

こんにちは、元保健所職員で薬剤師のモトヒロです。

このブログでは食品の安全性や衛生管理に関する話題を取り上げています。

食品安全に関心のある皆さん、今回は外国人に大人気の「卵サンド」について記事を書いてみました。(私も最近ニュースをみて知りました。日本の卵サンドは世界にも人気なのですね。)

あと、誤解を招かないように先にお伝えしますが、卵サンドに問題があるのではなく、手作業する工程に問題が潜んでいるということをこの記事でお伝えしたいです。



卵サンド


1.過去の事例

黄色ブドウ球菌

2019年6月、京都市でたまごサンドを食べたことによる集団食中毒事件が起こりました。被害は幼稚園児71人と職員1人、計72人にも上りました。

たまごサンドや調理器具などから黄色ブドウ球菌が検出されたため、食中毒と断定されたそうです。いずれも嘔吐や下痢などの症状が見られましたが、幸いにも重傷者はいなかったとのこと。たまごサンドを調理した同市のパン屋は、3日間の営業停止処分を受けました。


ノロウイルス

2020年3月、福島県いわき市で同市植田町中央の菓子製造業で製造されたパンを食べた幼稚園児など計142人が、下痢や 嘔吐おうと などの症状を訴え、このうち38人からノロウイルスが検出されたと発表した。1人が入院したが、快方に向かっているという。

 症状が出た人は、いずれも同店の卵サンドなどを食べており、同店の従業員からもノロウイルスが検出されたことから、市保健所は、同店で製造されたパンが原因の食中毒と断定。同店を15日から3日間の営業停止処分を受けました。


ノロウイルスの対策方法については


手

2.黄色ブドウ球菌とは
ブドウ球菌食中毒は世界中で広く発生している。わが国では1984年までは年間200事例以上の発生が見られていたが、1985年以降は漸次減少し、2000年以降は年間55〜92事例と事件数は減少している。実際に、食品の調理加工、食品製造、販売段階での食品の衛生的な取り扱い、および適切な保存管理(保存温度、時間)により、発生事件数も劇的に減少してきている。しかしながら、2000年6月から7月に低脂肪牛乳などの加工乳を原因食品とする、過去最大の食中毒事件が発生し、本食品に使用された原材料にSE汚染が認められ、これらの衛生管理の重要性が示された。 わが国においては、原因食品はにぎりめし、寿司、肉・卵・乳などの調理加工品および菓子類など多岐にわたっている。欧米においては、乳・乳製品やハム等畜産物が原因食品として多い。原因施設としては、飲食店(約35〜45%)、家庭(20%前後)、仕出屋、旅館などで多く発生している。わが国では年間を通じて発生するが、特に5〜10月に増加する。 黄色ブドウ球菌はヒトを取り巻く環境中に広く分布し、さらに健常人の鼻腔(特に鼻前庭)、咽頭、腸管等にも生息しており、その保菌率は約40%程度である。本菌は代表的な化膿菌であり、手指などに傷口が存在すると、侵入し化膿を起こし、その部位には本菌が多量に存在し、これから食品汚染の機会は高い。また、多くの食中毒事例はヒト由来の黄色ブドウ球菌が手指を介して食品を汚染し、発生していると考えられている。また、ヒト以外にも家畜を含むほ乳類、鳥類にも広く分布しており、牛乳房炎の重要な起因菌でもあり、生乳を汚染する機会は極めて高く、また食鳥肉の汚染も高いことが知られている。
※平成21年度食品安全確保総合調査「食品により媒介される感染症等に関する文献調査報告書」より抜粋

過去と比較して、衛生管理の徹底がされているので、事件数としては減っていますが、おにぎりやサンドイッチ等の手作業の食品に感染し、食中毒になるケースは全国的にもちらほら発生しています。



手洗い

3.対策

その1:調理器具の衛生管理

包丁やまな板には、非常に菌が付着しやすいです。肉や魚を切ったあと洗わずに野菜を切り、その野菜を生で食べるなどの行為は危険です。必ず洗剤を付けたスポンジやたわしでしっかりと洗浄し、流水でじゅうぶんにすすぐことが大切です。またまな板の表面には無数の傷がついています。

その2:加熱

ほとんどの細菌やウイルスは、加熱によって死滅します。卵だけでなく、肉や魚、野菜なども加熱して食べるのが一番安全です。サルモネラ菌、カンピロバクターなどは加熱することで食中毒を防ぐことができます。ただし黄色ブドウ球菌については、一度増殖した毒素は加熱にも耐えます。万が一加熱済の食品に増殖した場合、再加熱は意味をなさないのです。

その3:手洗い

あらゆる食品が原因となりますが、特に注意すべきは手。調理する人の手を介して、食品が菌に汚染される確率が高いです。手には様々な見えない菌やウイルスが付着しています。食中毒の原因菌やウイルスを食品につけないためには、調理前にしっかりと手洗いをすることが必須。調理を始める前はもちろん、卵や肉、魚を取り扱う前後には再度手を洗うようにしましょう。そうすることで、最初から食品についている菌を他のものにまで広げてしまう、という事態を防げます。また手をけがしていたり手荒れがある場合は黄色ブドウ球菌が多く存在している場合が多いので、手袋をするなど、素手で食品に触れないような工夫も必要です。手袋の使用法も大切です。手袋の外側に手の菌が付着しないよう注意して使用してください。



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